研究室の概要                   

〜教育〜

 文学教育の主要目的の一つは、単純なようですが、テクストがよく読めるようになることではないでしょうか。テクストを読むには、言葉のつながりを正確に読み分ける能力を養う必要があります。学部生や大学院生に何より身につけてほしいと思うのは、この力です。この能力を介し、さらに文学が本来もっている他者への理解力や想像力を豊かに身につけていってもらいたいと考えています。テクストを読む能力を向上させる訓練は、具体的にあるテクストをつかって行うことが一番有効な手だてだと考えます。深い読みの理解を示す学生の意見に耳を傾けることも大事でしょう。それぞれの読みを交流させることも大事でしょう。文学理論の実際的な応用のあり方を学ぶことも大事でしょう。学部生・大学院生の連携授業として行っている近代文学ゼミは、テクスト理解のための大切な訓練の場となっています。実際の講義においては、具体的なテクスト分析を視野に入れた、文学理論の解説にも力を注いでいます。

〜研究(小埜裕二)〜

専門分野
日本近代文学(大正・昭和期の小説・童話研究)

研究領域

第1は、三島由紀夫を中心とした昭和期の小説研究。戦前・戦後の三島の歩みを、時代の推移と関わらせながら研究しています。

第2は、宮沢賢治を中心とした大正期の童話研究。賢治文学の根底に流れる〈修羅〉のありようについて研究しています。

第3は、小川未明を中心とした郷土作家の研究。書誌的調査や全集未収録作品の収集を通じて、未明文学の解明に努めています。

主な著作・論文等

『解説小川未明小説1』(編・解説、永田印刷出版部、2014年3月)

『小川未明新収童話集』全6巻(編・解説、日外アソシエーツ・紀伊國屋書店、2014年1〜3月)

『文学の体験 近代日本の小説選2』(編・解説、永田印刷出版部、2013年10月)

『新選小川未明秀作童話45 灯のついた町』(編・解説、蒼丘書林、2013年9月)

『人物書誌大系43小川未明全童話』(編、日外アソシエーツ・紀伊國屋書店、2012年12月)

『文学の体験 近代日本の小説選』(編、永田印刷出版部、2012年9月)

『新選小川未明秀作童話50 ヒトリボッチノ少年』(編、蒼丘書林、2012年7月)

『解説小川未明童話集45』(編、北越出版、2012年3月)

『童話論宮沢賢治 純化と浄化』(蒼丘書林、 2011年7月)

『日本文学研究論文集成 三島由紀夫』(編、若草書房、2000年)

「今年の終りの陽の光−宮沢賢治「風の又三郎」論−」(『上越教育大学研究紀要』第30巻、2011年2月)

「孤独か罪か−宮沢賢治「山男の四月」論−」(『国語と国文学』第73巻4号、1996年)

「翻訳・三島由紀夫の英文新資料・解説」(『新潮』第90巻12号、1993年)

「三島由紀夫の即日帰郷-「サーカス」論-」(『日本近代文学』第56集、1997年)

「川端康成「化粧」の文化研究」(『イミタチオ』第49号、2009年)

「慈悲と空観-宮沢賢治「雁の童子」論-」(『上越教育大学研究紀要』第25巻第2号、2006年)